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 日本の住宅は、新築時が一番良く、年月が経つとただ朽果てていくだけで、あたかも価値が無いような物のように扱われてしまいます。
しかし、本来、建築物は２０年、３０年と時を増していったときに、その姿が新築当時よりもどれだけ付加価値がつき、
魅力のある建物として街並みの中で生きるかという事が建物にとって非常に重要な事であると思います。
たとえ、外壁はくすみ、雨水で汚れ、蔦がまつわったとしても、これら自然が建物と同化し、
時間と自然との調和によるデコレーションがアンティークという新たなる価値を生み出し、
新築時にも勝る価値を身につけていかなければならないと考えています。
ニースに程近い小村の−かのルノアールが晩年を過ごした−小高い地中海を見渡す丘の上に、
１３世紀のシャトーを改築した小さなホテルがあります。数百年の間、石と漆喰の壁は今も変わらずにそこに佇み、
窓を開ければオリーブやラベンダー、ローズマリーといったハーブの香りが部屋をやさしく包みます。
そこには紛れもなく数百年前と変わらぬ空間が存在します。
住宅にしろ店舗や商業施設にしろ『時間の経過』すらもデザインとする。
こうした長い時間変わらぬ『空間』の再現が我々の基本テーマなのです。
華麗さや豪華さだけではなく、時の経過と共に、そこに住む人や使う人が作った温もり感や草花の育成が建物の『空間』を成長させる。
あなたもそんな『空間』の住人になってみてください。
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